ウイルス感染の動向も気になりますが、暦は確実に進み、2020年も9月になりました。
毎年9月1日は「防災の日」と定められています。1日遅くなりましたが、これを今日のテーマにします。
防災の日は、国民の祝日ではない「記念日」です。
「防災の日」の 設定根拠は 1960年の閣議決定であり、今年で 制定 60年の歴史を重ねました。
1982/5/11に、豪雨、豪雪、洪水などが対象に追加されています。
出典
政府、地方公共団体等防災関係諸機関をはじめ、広く国民が、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波等の災害についての認識を深めるとともに、これに対する備えを充実強化することにより、災害の未然防止と被害の軽減に資するため、「防災の日」及び「防災週間」を設ける。
もともと台風や地震などの 自然災害対策を主目的とした制度 のようです。
今年になり 特にクローズアップされた災害は 「感染症」(はやりやまい)でした。
約百年前の「スペイン・インフルエンザ」騒ぎ を引き合いに出すまでもなく、感染症は人類にとり大きな脅威であり続けています。
医学・医療技術は進歩しているものの、これまでに完全に抑え込むことができた と評価される感染症は、天然痘だけでした。
1798年 ジェンナーによる
種痘法
1980年
WHOが天然痘の根絶を宣言
自然災害と感染症との複合的な対策も必要であると思われますが、制度の現状は、とても これに及んでいないようであり 残念です。
折しも 記録的に高い海面水温の影響で発達しつつある 台風10号の 日本接近が 予想されています。
第二次大戦に敗れた後、1952年に独立を回復して 復興途上にあった日本。
1959年9月に その日本を襲ったのが 台風15号
[98058]でした。
室戸台風の再来を思わせる進路で進んできた大型台風。1959/9/26 の夜、26歳の hmtは 大阪湾岸の会社で 宿直【電話番】中でした。
気になる台風進路は東側になり、潮岬に上陸し、hmtの会社は、幸いなことに 台風直撃を免れました。
しかし、名古屋方面は 歴史的な大被害。「伊勢湾台風」という固有名
[82206]で呼ばれるようになりました。参考
[98128]
この 災害の中にあっても、禍を転じて、新たな発展に結びつけた先人たちが いました。
その代表的な例が、水没した路線の復旧に際して 念願の名古屋線標準軌化工事で実行した 近畿日本鉄道でした
[86363]。
戦災復興から、災害対策へと舵を切り、高度成長経済へと進む きっかけになった時代。伊勢湾台風は、その転機の一つだったのでした。
内閣府防災情報のページに、平成12年以降の
災害状況一覧が示されています。
その分類を見ると 風水害が最も多く、台風を含めた豪雨が注目されます。
台風と言えば、立春から数えて 210日目は「二百十日」と呼ばれ、暦では、二十四節気を補足する雑節です。
令和2年暦
雑節は紫色で表示されており、閏年の今年は8月31日となっていますが、平年の「二百十日」は 【太陽暦】9月1日に相当する日が多く、旧暦【太陰太陽暦】時代からイネの開花期にあたる台風注意の日とされていました。
「二百十日」は、渋川春海により 貞享3年(1686)の暦から記載されたと伝えられています。
そして、9月1日の災害と言えば、1923/9/1 の関東大震災への言及も欠かすことができません。
60年前に定めた「防災の日」の日付の 決め手は、10万人を越える死者・行方不明者を出した この災害であったのでしょう。
但し 関東大震災は 昼食時の故に多発した 火災の大規模化 による二次的死者が多く、純然たる自然災害ではありませんでした。
内閣府の防災情報のページには、平成12年(2000年)以降の
災害状況一覧が示されています。
20年間(2000-2019)の件数を数えてみると、風水害が 105件(台風43件)でトップ。地震・津波が 49件でこれに続き、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の胆振東部地震。
雪害が25件。火山災害は 2015年の御嶽山など16件。その他に分類されている災害としては、2005年の福知山線事故の他に、工場火災や爆発事故がありましたが、感染症災害は記載なし。
上記 20年間の範囲より前の災害。
1月17日が 防災・ボランティアの日 になっている阪神・淡路大震災は、25年前の 1995/1/17。
61年前の 1959/9/26 伊勢湾台風は、死者・行方不明者数が 全国32道府県で5098人。明治以降最悪の台風被害でした。
73年前の 1947/9/16 カスリーン台風
[82206]による利根川破堤では、洪水が東京を襲いました。
60年企画展
もっと古い 1854年の安政南海地震は、稲むらの火
[36355][36682]の話が伝えられ、11月5日が津波防災の日になっています。
このように振り返ってみると、「防災の日」には ある日 突然襲ってきた過去の自然災害を忘れないための記念日という性格があるようです。
ここで気になるのが、2011/3/11の東日本大震災。10周年記念日が半年先に迫っています。
3月11日は どうなっているのか?
「災害時医療を考える会」(Team Esteem)が制定した
いのちの日
東日本大震災で失われた多くの命の尊さを思い、命の大切さを考え、震災で学んだことを風化させることなく災害に備えることが目的とされています。
この記念日は あまり知られていないが、10周年となる来年を目途に記念日制定の動きがあるのかもしれない。
…と考えて、Webの中を探してみたら…2014/3/4の
報道記事 がありました。
3月11日は何の日に? 安倍首相が「記念日」制定の考え
その後の進展が報じられないままで、最近の首相辞意表明に至っていますが、次期政権の動きや如何。